HSRP 基礎編:(10) HSRP ルーターのPreempt 動作

故障やケーブルが抜けたりしてアクティブ・ルーターがいなくなったりプライオリティが下がると、それまでスタンバイ・ルーターだったルーターが、アクティブ・ルーターに遷移します。

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しかし、従来のアクティブ・ルーターが復活したり、プライオリティが高いルーターが新たに現れても、アクティブ・ルーターの切り替わりは発生しません。
アクティブ・ルーターの切り替わりは、現在のアクティブ・ルーターが使用できなくなるか、自分からアクティブ・ルーターであることを辞めない限り発生しません。

このルールは、アクティブ・ルーターを選定する仕組みにのみであり、スタンバイ・ルーターの選定には適用されません。
スタンバイ・ルーターは、現在のスタンバイ・ルーターよりもプライオリティの高いルーターが出現すると即座に切り替わります。

つまり、(復活した以前のアクティブ・ルーターも含めて)新たに出現したルーターは、たとえプライオリティが高くてもアクティブ・ルーターにはなりません。現在のアクティブ・ルーター以外のルーター(=スタンバイ・ルーター + 「その他大勢」との間でプライオリティを比較し、もっともプライオリティの高いルーターがスタンバイ・ルーターとなります。

下の図では、Router-A とRouter-C の間はギガビット・イーサーネット(1000Mbps)、Router-B との間はファースト・イーサーネット(100Mbps)で接続しています。
ネットワークが安定している時は常に、Router-A がアクティブ・ルーターとなってくれた方がより高帯域のギガビット・イーサーネットを利用できるので好ましいのですが、そうはなりません。
故障していたRouter-A(プライオリティ100)が復活したり、プライオリティが96 以上に設定された新たなRouter-C が出現しても、Router-B がアクティブ・ルーター役を続けます。

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そのような状況を回避して、プライオリティが高いルーターが出現したらアクティブ・ルーターの切り替わりを速やかに行えるようにする方法を、Preempt(プリエンプト)と呼びます。

※ Preempt の名詞形 Preemption は、「先買い権」を意味する英単語です。

HSRP が動作するルーターでPreempt を設定してやると、新しく出現したルーターが自分のプライオリティがもっとも高いことを認識すると、Coup メッセージを送信してアクティブ・ルーター に遷移します。Coup メッセージを受信した現在のアクティブ・ルーターと「その他大勢」のルーターは、プライオリティに基づいてスタンバイ・ルーターを選出します。

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